ヴィナイオータかわら版 ~飯塚編 その二~

皆さまこんにちは。いつもヴィナイオータのワインをご愛飲いただきましてありがとうございます。本社受注担当の飯塚です。
前回のかわら版が昨年8月ということで、約一年ぶり、2回目のかわら版です。前回のかわら版を書いた頃は、倉庫チームの一員として、ワインの出荷や在庫の管理などの業務を行っていました。現在は受注チームとして皆様からのお電話を受けたり、新入荷ワインのメルマガやECページを準備したりしています。イタリアを出発したワインを「みなさまへご案内したいな」と日々楽しみにしながら、毎日の仕事に取り組んでおります。この1年で、いろいろな仕事に関わる機会が増え、先月は都内で開催している月イチ試飲会にも初めて参加させていただきました。皆様と直接お顔を合わせ、私たちがお届けするワインを味わって感動されている様子を間近で見られたことが、とても嬉しかったです。これからも、こうした機会を大切にしていきたいと思っています。
さて、今回私が紹介したいワインは、バランコ オスクーロの「1368 Cerro Las Monjas 2009(L.2009)」です。
バランコ オスクーロは、弊社で取り扱っているスペインの造り手の一つで、スペイン最南部のアンダルシア州の生産者です。一般的にアンダルシアというと、暑く乾燥しており、夏には気温が非常に高くなるイメージがあるかと思いますが、バランコ オスクーロの畑があるエリアは、冬には雪も降ることもある標高約1,200m~1,300m前後の高地です。そのため、日中は強い日差しでありながら、夜になると標高の影響で気温が大きく下がり、昼夜の寒暖差が大きい環境でブドウを生産しています。
この地域は、ワインの名産地として広く知られているわけではありませんが、古くからワイン造りが行われてきた歴史があります。しかし、19世紀末にフィロキセラ(アブラムシの仲間)の被害によって、多くのブドウ畑が失われ、その後はアーモンド畑などへ姿を変えています。そんな土地で、バランコ オスクーロは1980年代からブドウ栽培を復活させ、土地の可能性を追求してきました。
醸造においてはSO2を使用しておらず、1970年代に彼らがこの土地へ移り住んだ頃から、畑では化学薬品に頼らない農業を続けてきました。今では自然な栽培や醸造に取り組む造り手も増えていますが、彼らはそれよりずっと以前からこうした姿勢を貫いてきた、スペインの自然派ワインの先駆的な造り手のひとつです。
さらに、土着品種ヴィヒリエガの品種の復活に取り組んでいたり、「ラ トラヴィエサ」シリーズでは、周辺の農家が育てたブドウを不当に安い価格で売らざるを得ない状況を問題視し、地域の農業を持続させていこうという考えのもとワイン造りを行っていたりと、その土地のブドウ品種や農業にまで目を向けている、情熱のあるすてきな造り手です。
そんなバランコ オスクーロの中でも、セロ ラス モンハスはグラン・キュヴェに位置づけられるワインで、彼らが長年向き合ってきたその土地や、造り手の魅力をより深く感じ取ることのできる一本だと思います。
今回、かわら版の担当が自分に回ってくるということで、何を書こうかと迷っていたところ、現当主ロレンツォからとあるメッセージが届いたことが、このワインを選んだきっかけでした。なんとCerro Las Monjasのブドウ畑を横切る送電線の建設計画が進んでおり、ブドウの木が引き抜かれてしまう可能性があるとのこと。裁判所で闘っているものの、電力会社の強引な計画は今も進み続けているとの連絡でした。彼らの最新のインスタグラム投稿によると、現在は抗議を経て工事は一時中断されているようですが、計画そのものが中止されたわけではなく、畑を守るための闘いは今も続いているようです。
現在スペインでは、風力や太陽光などの再生可能エネルギーの導入が進む一方で、それに伴う送電網の整備が急ピッチで進んでいる現状があります。バランコ オスクーロの畑周辺も、地形などの条件から、鉄塔の建設コストを抑えられるとされ、建設計画が進められています。しかし、何十年もの年月をかけて、その土地に根を張り、育ったブドウの木は、簡単には取り戻せず、たとえ同じ場所に同じ品種を植え直したとしても、以前と同じものは育ちません。バランコ オスクーロも、一本一本の木の様子や土の状態を見つめ、その年の天候に向き合いながら、畑を守り続けてきたはずです。もし畑が失われてしまえば、その畑からこれから先に生まれるはずだったワインも失われてしまいます。電力を安定して届けるための整備も大切ですが、そのために失われるものにも目を向け、畑を残せる方法を探してもらえたらと思います。
今回ご紹介する2009年は、現在販売中の6つのヴィンテージの中では最も古いものになります。今年の春に社内試飲で販売中のヴィンテージを飲み比べる機会があった際、2013年以降のヴィンテージはパワフルさを感じた一方で、2009年は、熟成を重ねた落ち着いた味わいの中に優しさがあり、すてきな酸が感じられるところが魅力的でした。ひと口飲むと、また次のひと口が飲みたくなるような、自然とグラスが進むようなおいしさが印象に残った一本です。最近のように少しずつ肌寒くなってきた時期には、ぜひ時間をかけてゆっくりと。少しずつ表情を変えていく変化も楽しみながら飲んでいただけたらと思います。
セロ ラス モンハスには、現当主ロレンツォの父マヌエルが1981年にブドウを植えた、石がごろごろと転がる痩せた土地の畑のブドウが使われています。さらに2013年までは、1990年代にワイナリーの近くに植えられた、粘土と石が半々ほどの土壌を持つ区画のブドウも加えられていました。
2009年ヴィンテージは、まさにその二つの畑のブドウから生まれたワインです。父マヌエルが植えた畑と、その後、ワイン造りを続ける中で新たに広げていった区画のそれぞれのブドウが一つのワインになり、長い熟成を経て、今こうして私たちのもとに届いてると思うと、この一本の中には、味わいだけではなく、バランコ オスクーロの家族が、この土地で積み重ねてきた時間も感じられるような気がします。何十年もかけて守られてきた畑だからこそ、これから先も変わらず残っていってほしいという思いが、より強くなります。
まずはワインそのもののおいしさを楽しんでいただきながら、その向こうにある畑や、そこでブドウを育てる人たち、そして今その土地で起きていることにも、少し心を寄せていただけたら嬉しいです。この一本を飲むことが、バランコ オスクーロという造り手や、その畑の現在を知っていただくきっかけになればと思います。
すでにバランコ オスクーロのワインを飲んだことがある方には、彼らの魅力を改めて感じていただける一本として。まだ飲んだことのない方には、彼らの土地やワイン造りに触れる入口として。ぜひ味わっていただけたらと思います!

【飯塚の飲んでもらいたいワイン!】
・銘柄:1368 Cerro Las Monjas 2009(L.2009) / 1368 セロ ラス モンハス 2009(L.2009)
・造り手:Barranco Oscuro / バランコ オスクーロ
・地域:スペイン/アンダルシア
・希望小売価格 (税抜):7,000円
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対象期間:2026/10/15(木)~2026/11/13(金)出荷分まで
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