メゾン ヴェヴェイ アルベール




北イタリアの西端、フランス、スイスと国境を接するヴァッレ ダオスタ州の北西に位置するモルジェとル サルの標高1000~1100mの高地で、アルベール ヴェヴェイによって1968年に始められたワイナリー。1990年にアルベールの息子、獣医のマリオと森林警備隊のミルコがワイナリーとプリエ ブランのブドウ畑を受け継ぎました。

標高が高く(一番高いところで1200m)、土地が痩せているモルジェは、ラ サルに比べると畑が密集しているのが特徴。畑は斜面にあり、開墾した際に出た石で石壁を作り、小さな段々畑状となっています。地熱をブドウに感じさせることと、雪で木が倒れないようにするために、棚仕立ては非常に低くなっています。


モルジェの山の斜面にある小さな段々畑には、開墾した際に出た石で作られた石壁と低い棚仕立てが見られる。写真中央は兄のマルコ ヴェヴェイ。

それに対し、ラ サルはモルジェに比べると標高も低く(900~1000m)、氷河が運んできた肥沃な土が堆積した土地のため、ブドウ以外の作物と混植して育てられていました。土地が肥沃なことと、標高が低いこともあり、モルジェよりは棚も高めに仕立てられています。モルジェの畑のブドウがミネラルやテンションをもたらし、ラ サルのブドウがある程度の収量を約束してくれます。

ラ サルでは流通が発達していなかった昔から、自家消費用としてブドウとともに牧草や穀物、小麦、ジャガイモ、野菜などが栽培されていました。そのため、ヴェヴェイのラ サルの畑でも、作業・生産効率の良さだけを考えてブドウ木が植えられているわけではなく、広大な牧草地のなかにブドウが2、3畝ずつぽつんと植わっているだけ。春に放牧される牛は草の生長にあわせて標高3000mくらいまで山を登り、雪が降る前までに草を食べながら降りてきます。


写真左、写真奥に小さく写っているのがブドウの畝。広大な牧草地の中に、2~3畝のブドウが点在しており、昔から牧草や他の作物と一緒に育てている。

この土地にブドウを植えたのはローマ人だと言われており、芽の出るタイミングが遅く(遅霜を逃れるために有効)、熟すのも早い(雪が降る前に収穫できる)、プリエ ブランという品種が土着化しました。また、ヴァッレ ダオスタの高地ではフィロキセラは生き残れず被害もなかったため、アメリカの台木を使わないピエ ディ フランコ(フラン ド ピエ)で植えられています。

そのピエ ディ フランコが残っている場所を含め、約1ha強の畑を持つヴェヴェイ。DOCブラン ド モルジェの栽培面積が全体で20haであることを考えると、点在しているとはいえこのゾーンとしては破格の栽培面積を持っていることに。大多数の農家はブドウ栽培だけを行い、収穫したブドウは共同組合ワイナリーに納めていますが、彼らは今でも自家栽培、自家瓶詰をしている数少ないワイナリーのうちの一つです。 畑では無施肥、ボルドー液以外の農薬を使わず、草刈りも全て手作業(刈り払い機は使用)。醸造面では、基本培養酵母を使用せず(気象条件に恵まれず、質が高くないブドウの時にはリスクを避けるために使用)、温度管理をせずに醗酵。年間6000~7000本のワインを生産しています。

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