かわら版 ~小沼編 その六~
2025年も残り僅かですね、みなさまいかがお過ごしでしょうか? 今回のかわら版ですが、2024年4月10日に出張で訪れたピエモンテ州のコンティを、写真を交えてご紹介しますので、ご注文必須でお願いしまっす!♡
ミラノ マルペンサ空港から北西に車で1時間弱のノヴァーラ県北部、マッジョーラの丘陵地帯にある造り手、コンティ。パオラとエレナが満面の笑みで出迎えてくれました。 ワイナリーに到着してすぐに、エレナが運転する車に乗り込み、幾つかある畑を見せてもらいに行きました。 車で10分くらい山のほうへ走ったところで車を降り、小川に掛かる小橋を渡って、そこからまた徒歩で10分くらい上り、標高は約300~350mのマッジョーラにある畑です。 ボーカを名乗れるエリアは山肌の5つの町に行き渡っていて、かつては、10,000haもの栽培面積がありましたが、現在は50ha程に縮小してしまっているそうです。 コンティの畑があるマッジョーラ付近は大昔(約2億8千万年前)、スーパーボルケーノ(超巨大火山のマグマ溜まり)があったといわれるところで、それらがつくったカルデラのような地形に溜まったマグマや火山灰などが暑さや寒さや年月を経て砕けていったものが、この赤褐色の土となり、地層を形成している地域です。手で触れてみると、岩がとても細かく砕かれたようなゴロゴロとした手触りが特徴です。 ボーカやオリージニに使う品種のウーヴァラーラなどが植わる畑に向かう坂道の途中は、地層があらわになっている崖がありました。そこでも、崩れ落ちた地層のかけらを素手で触ってみると、ゴロゴロとパサついた感じでボソボソと割れやすい質感でした。 その地層を横目に見ながら山道を上った先にある畑を最初に見せてくれました。ブドウ樹の畝には、新芽の高さのところに針金の線が沿わせてあったのですが、杭のところをつまむとその針金の線を上下にスライドして高さを変えられるようになっていました。芽が伸びて来たら強風などで枝が折れないよう枝の成長にあわせて、その針金の高さを変えていくそうです。

ある畝は、8本の支柱の中心に複数本植わるブドウ樹の枝を外側複数の方向へ竹に沿わせて仕立てあります。 この仕立て方はこの地域に何世紀にも渡って受け継がれてきた伝統的なマッジョリーナという仕立て方です。ブドウ樹の枝と竹を繋ぐ紐のように使われているのは、細い柳の枝だったのがとても興味深いと感じました。その結び方のレクチャーを受けるオータをみていたのですが、力で硬く結び切るのではなく、絡ませてねじって引っ掛けるだけで簡単とのこと。できる限り自然界にあるものを使うという、これも先人の知恵だったりするのでしょうか。 ウーヴァラーラなどが植わるまた別の畑に移動しまして、ここは以前の持ち主であるお爺さん(80歳を越えていた方)から受け継いだ際、そのお爺さんが幼い頃からあった畑だ、と言っていたそう。すなわち、樹齢は間違いなく100年を超えている、ということになります。ここのブドウ樹は全てオリージニに使われているそうです。 次に案内してくれた畑は雑草が少し高めに生い茂っていました。ここには樹齢50年程のブドウ樹が植わり、土壌が極端に肥えているわけではないですが健康的にブドウが育つ畑なのだそう。ここのブドウ樹があまりにも居心地が良いと感じているのか、難しいヴィンテージだったとしても肥料なども全く撒く必要が無く、ちゃんとした良いブドウが毎年収穫できる気がする…と話すエレナ。

その畑にある2本並んだ樹、どちらも樹齢50年程で右側の樹は、恐らくかつて、枝を大胆に深めに剪定してしまった結果、人体に例えるならば、樹のかさぶたのようなものが円錐状にできて、リンパが目詰まり を起こし、壊死してしまっている部分が大きい樹とのこと。 対して左側の樹は、エレナが2009年頃から幹が二手に分かれるように施して、ブドウ樹全体にリンパ を流させる状態の形状に改革した樹です。どの枝を残し、どう剪定するか。必要のない芽の芽かき作業も、とても重要な仕事だと思い、考えながら時間をかけて行っている…とエレナが丁寧に説明してくれました。 (ブドウ樹が近距離で並んで植わっているのは、かつて、2本の樹の間に杭を立てて2本同時に支えるような仕立て方をしていた名残だろう…とのこと。)
また車で数分移動し、同じマッジョーラで更に上ったところにある畑からは、天気がよければ約100キロ先のミラノが見えるそう。ここにはマルヴァジーア ディ ボーカという品種のブドウ樹が植えてあります。この品種は、ボーカのDOCのなかでは、もう登録されていない品種ですが、この土着品種があったことを再び認めてもらえるよう栽培して株を増やしてワインをつくり、その個性が認められた暁には、もう一度土着品種のリストに登録させてもらえるよう、エレナとエレナの友人の造り手たちとプロデュースしている、と話すエレナ。 また別の畑にも品種が複数植わるなかに、シャスラーという白品種(フランスのアルザスやスイスにも植わる品種)も植わっているそうです。コンティの白ワインが飲める日がくる…なんてことが果たしてあるのでしょうか。楽しみにしていたいと思います。

ワイナリーに戻り、樽から23年オリージニとボーカなどを試飲させてくれました。この年の5月は雨が多く降ったため、雨と雨の間を縫っての防除が大変だったそうです。飲んだ感じは、強いフルーツ感があるな…という印象。そのため、暑い年だったのだろう…とエレナの会話をオータが訳しながら話してくれました。 昼食は、パオラとマンマがサラダやパスタ(ミートソースとジェノベーゼ)などを作ってくれていて、食卓には2022年のオリージニとフローレスとボーカも並び、イタリアでの初めてのご家庭の味。パスタはどちらもやさしい風味で後味が軽く、とても美味しくておかわりをいただきました。 昼食のあと、午後はパオラに案内をバトンタッチ。ワイナリーの道路を挟んだ先にあるパオラの畑に向かいます。

畑に向かう途中の池は、パオラたちのお父さんが、水が染み出ているのを見つけ、そこを掘って池を造ったそう。20年くらい放置していた期間もありましたが、水が湧き出たところの泥を盛って池と中島になるように作りこみ、今では色々な草花やカエルも生息し、池の周りにはライラックの花や葉っぱで覆われた樹のトンネル、切り株の腰掛けなどもあり、「夏にはここでワインを飲めるし、有意義に過ごせる庭となっているの」と話すパオラ。手作り感あり、素朴な感じがとても癒されます。 パオラの畑には、ホウレンソウ、アスパラ、ブルーベリーの樹(480本ほど植えたそう)、カボチャ、リンゴ、紫蘇、スナップエンドウ、モミジなど、たくさんあり過ぎて数え切れないほどの植物が栽培されていました。

------------------------------------------------------------------------------------------------
ワイナリーの1階は直売所としている部屋がありまして、ふと、ショップカードなどがざっくばらんに盛られたカゴの中を見てみるとなぜか、見覚えのあるお店「祖〇」のショップカードが!?(笑) エレナもこのときに初めて発見したらしく、「なんでここにあるの?」と、少し驚いた様子で一笑いでした。
以上、コンティの造り手訪問記となりますが、彼女たちの畑の手入れやブドウ樹ひとつの剪定の仕方などから感じたことは、彼女たちが見ているのは現在だけではなく、その土地の過去からのバトンを受け継ぎ、100年前から100年先までのことに自分が携わる意識を当たり前にさらりと持っているように感じました。今の時代を受け継いだ自分たちが、この先数十年後、100年先にも、この土地のブドウ樹たちが健康に居られるように導く役割を私たちは担っています、と体現して今を生きているように見えました。自分が既に死に絶えた後世のことを、彼女たちは平然と当たり前に考えて今に命を燃やしている…。まるでサグラダ ファミリアみたいに終わりのない壮大なプロジェクトのような流れのなかに居て、初めて訪れた私たちを、まるで家族同然のように一緒に過ごしてくれる気さくなコンティ。彼女たちの人徳の 深さをズドーンと感じてウルッと涙してしまった小沼でした。
今回のワインは、訪問した際に樽から飲ませてもらった コンティ/ オリージニ2023(L.ORI23)と、パオラとマンマが作るパスタランチの食卓に並んでいたコンティ / フローレス2022(SO2無添加です)もこの機会に、おススメします!オリージニについては、キムチとの相性が抜群に良くて驚きました!フローレスは、開けたては少し硬い感じがして、翌日に少し不安定なニュアンスあるかな~と感じても、5日ほど経過すると持ち直してきましたので、合わせておススメいたします!
【小沼の飲んでもらいたいワイン!!】
• 銘柄: Origini 2023(L.ORI23) / オリージニ2023
• 造り手:Conti / コンティ
• 地域:イタリア ピエモンテ州
• 希望小売価格 (税抜):4,300円
• 銘柄:Flores 2022 / フローレス2022
• 造り手:Conti / コンティ
• 地域:イタリア ピエモンテ州
• 希望小売価格 (税抜):4,400円
◆◇特価条件◇◆
◎条件1:1本~のご注文→掛率3%引き!
◎条件2:6本~のご注文→掛率5%引き!
対象期間:2025/11/20(木)~2025/12/12 (金)出荷分まで
2件中 1〜2件目
並び替え
表示切替
2件中 1〜2件目