かわら版 ~豊田編 その参~

今年は戦後80年ということで、例年以上に戦争についての話を見聞きすることが多くありました。ヴィナイオータに入り、造り手の話や自分達で取り組む農業を間近で見て・聞いて・体験することによって、自然の恵みや時折見せる圧倒的な力のすさまじさを感じ、考える機会が日常に多くある一方、こういったニュースを聞くと、人が起こした(生み出す)ものでも抗い切れない現実があると実感させられます。ヴィナイオータが扱う造り手たちにもこういった事に無関係ではなく、特に現在の国境沿いに位置する造り手はよりその影響を受けていることも彼らの話から知ることができます。かくいう私も一番初めのメルマガで少しご紹介しましたが、実家が大阪の堺で300年ほど続く稼業を行っていまして、堺の空襲の被害にあったことを良く祖父や祖母に聞かされていました。「食べる事は生きること」この言葉の通り、食文化とはその土地や過ごしてきた人々の歴史などを反映したものだと思います。それを一瞬で消し去る暴力的な事象があることを今一度理解した上で、今歴史や伝統を守り続けている人達がいることをしっかりと伝えていかないといけないと改めて思う夏でした。
ということで、今回のかわら版ではヴァルテッリーナのワインの伝統を守るべく立ち上がったアールペーペのエントリーにピッタリな3つのセカンドラインのワイン(サッセッラ ステッラ レティカ&グルメッロ ロッカ デ ピーロ&フィアンメ アンティーケ インフェルノ)をご紹介します!!


ロンバルディアの最北部、スイスとの国境近くにあるヴァルテッリーナ渓谷にある、とんでもない環境で伝統を守るブドウ栽培&ワイン造りを行うアールペーペ。彼女たちの畑の写真を見ると毎回、なぜこのような環境でブドウ栽培が始められて、今まで続けられているのかという事について思いを馳せることが止まりません。改めてアールペーペというワイナリーを文章で紹介するとなるとかなりのボリュームになってしまうということで、ぜひ詳細を知りたい方はヴィナイオータHPにある造り手紹介のページ(可能であれば過去の造り手紹介その1&造り手紹介その2も)&来日した際のインタビュー(1時間オーバーの動画ですが、見たことない方は是非!!) をチェックしてみてください!
アールペーペというと、代表のオータ的に言う、ヴィナイオータの中でも、造り手のすごさとワインの動き方が一致していない、過小評価されている造り手の1人であります。この言い方をするたびに、自分たちの造り手の魅力を外へ伝える力の弱さを痛感しつつ、アールペーペならではのユニーク(ユニークがゆえにややこしい!)なポイントとヴァルテッリーナというテロワールを引き出してあげる方法が「時間」であることも、皆さまがアールペーペを理解する一つの壁となっている部分もあるのではないでしょうか。(結局そういった部分を含めて伝え切れていない自分たちの実力不足なのですが...)
今回の3つのワインを紹介するにあたって上記の部分を含めて紹介していきたいのですが、最初にお伝えします!今回ご紹介するワイン3つともとてつもなく良い状態に突入しています!!「このワインの飲み頃はいつですか?」というと、オータをいらっとさせる代表的な質問の1つなのですが、あえてワインに1種の飲み頃(飲みやすさ)が二次関数の放物線のグラフの様にあると仮定すると、間違いなく今回のワインはその曲線の頂点もしくは、頂点に差し掛かる部分に位置すると言っても過言ではない思えるほどの素晴らしい状態です。
アールペーペのユニークなポイントであり、ややこしい部分でもあるところが、どのワインも毎年必ず造られるわけではないという点ではないでしょうか。天候に恵まれて長期熟成に耐えうるワインができると判断した時には、(ソット ゾーナ、クリュごとに分けて)全生産量を長期熟成させ、セカンドラインにあたるワインを一切造らず、逆に偉大という領域にまではいけないと判断した年のワインは、樽での熟成期間を短くして、全てセカンドラインのワインとして、早期にリリースさせます。今回ご紹介するワインは3つともセカンドラインとしてリリースされたワインですが、あくまでもアールペーペ基準で”長期熟成向きではない”と判断しただけで、世間的にはリゼルヴァが名乗れる程度の熟成期間をとっており、もれなく10年ほどでへこたれるワインたちではないので、そこはご安心ください!
・Rocca De Piro Grumello 2015 / ロッカ デ ピーロ グルメッロ)
ヴァルテッリーナ スペリオーレDOCG地域の5つのソット ゾーナ(サブ ゾーン)の中では一番フレッシュで繊細な口当たりは滑らかなワインが造られるエリアです。アールペーペはこのソット ゾーナに、標高370mにあるブオン コンシーリオと、標高450mにあるサンタントニオ グルメッロの2つの畑を所持しています。長期熟成に耐えうるワインと判断できた場合はそれぞれのクリュの名前を冠して、サンタントニオ グルメッロ リゼルヴァとブオン コンシーリオ グルメッロ リゼルヴァとしてリリースされ、長期熟成に耐えられないと判断した場合はロッカ デ ピーロ グルメッロとしてリリースされます。
アールペーペが所有する区画の中では一番口当たりが柔らかく、しっかりとした果実味が口全体に横に広がっていくようなイメージの味わい。圧倒的な果実味と柔らかい口当たりで、これを嫌いという人はほぼいないんじゃないかと思わせるほど、親しみやすさ全開となっています。

グルメッロ地区にある畑
・Stella Retica Sassella 2015 /ステッラ レティカ サッセッラ)
アールペーペが最も畑面積を所有(8ha)しているサッセッラ地区は、「サッソ(石)」の名が由来の通り礫が多く、他のゾーンと比べるとミネラルや骨格が形成されるのを特徴としています。長期熟成に耐えうると判断した場合は、ロッチェ ロッセ(サッセッラにあるいくつかのパーセルのブドウをブレンドしたもの)とヌォーヴァ レジーナ サッセッラ リゼルヴァ(2013VTまではヴィーニャ レジーナ)(単一畑)、さらに、気象条件的に可能だと判断した際に造られるのが、“最後(晩秋)の日の光”を意味するウルティミ ラッジという、遅摘みのブドウで造るワインとしてリリースされ、長期熟成に耐えられないと判断した場合はステッラ レティカ サッセッラとしてリリースされます。
土壌由来の鋭くしなやかに伸びるような酸としっかりとした骨格が特徴的で、横に広がるロッカ デ ピーロに対して、縦に長く続くステッラ レティカと言ったイメージ。個人的には一番ヴァルテッリーナらしさを表現しているイメージのワインです。

サッセッラ地区にあるロッチェ ロッセの畑
・Fiamme Antiche Inferno 2011 / フィアンメ アンティーケ インフェルノ)
夏の間に畑に照りつける日差しの強さから、まるでインフェルノ(地獄)のようだということで着いたソットゾーナの名前。その日差しを感じるアルコール度数の高さやエキスの強さ、タンニンの質は、他のゾーンと明確な違いがあります。長期熟成に耐えうるワインと判断できた場合はセスト カントとしてリリースされ、長期熟成に耐えられないと判断した場合はフィアンメ アンティーケ インフェルノとしてリリースされます。
ソットゾーナの名前の通り、他のキュヴェと比べて圧倒的なボリュームを誇るワイン。果実味やタンニンなど、ともに暑さを連想させ、口の中に長く重く残るような重心のしっかりとした味わい。今回ご案内した他のキュヴェより熟成期間が長いはずですが、まだまだフレッシュな雰囲気を醸し出しており、他のソットゾーナに比べてパワフルなことをまじまじと実感させる味わいです。

インフェルノ地区の収穫
今まで個人的なイメージは、アールペーペのワインは取っつきにくいイメージでしたが、今の3本を飲んでそのイメージが180度変わるほどの凄みを備えたワインでした。同時に、これで長期熟成に向かないセカンドラインとしてリリースされているのであればトップキュヴェとしてリリースされるワインが万全な状態を迎えた時にはどうなるのか、ただただ楽しみでしかありません。ぜひこの機会に皆さまアールペーペの素晴らしさを感じてみてください!!
【かわら版 豊田の飲んでもらいたいワイン!!】
造り手:Arpepe/アールペーペ
地域:ロンバルディア
銘柄:Rocca De Piro Grumello 2015 / ロッカ デ ピーロ グルメッロ
希望小売価格 (税抜) :4,800円
銘柄:Stella Retica Sassella 2015 / ステッラ レティカ サッセッラ
希望小売価格 (税抜) :4,800円
銘柄: Fiamme Antiche Inferno 2011 / フィアンメ アンティーケ インフェルノ
希望小売価格 (税抜) :5,700円
◆◇特価条件◇◆
◎条件1:1本~のご注文→掛率3%引き!
◎条件2:6本~のご注文→掛率5%引き!
対象期間:2025/9/18(木)~2025/10/9 (木)出荷分まで
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