【ヴィナイオータ 2025年の所信表明】
2025年は、スタッフ一同例年にも増して気合を入れて臨む所存ですので、ますますのご愛顧のほどをお願いいたします!!2024年は(も?)、逆風だらけの厳しい年でしたが、ヴィナイオータができていないことや、やるべき事を強く認識できたという点では大きな収穫があったと考えています。
おかげさまで、引き合いの多い造り手も数多く取り扱わせていただいているのですが、一方でいまだに実力に見合った評価を獲得できていない造り手たちもちらほら…。弊社的にも、取引をする造り手の数も少しずつとはいえ着実に増えていますし、ことナチュラルワイン界においては、世界各地で新しい造り手たちが続々と誕生し、他社インポーターさんが取り扱いを始められているという状況も相まって、個々の造り手(弊社が取り扱っているかどうかに関わらず)からしてみたら、スポットライトを浴びるのがこれまで以上に困難になっているように思います。この状況を酒販店、飲食店、そして消費者の側から見ると、常に真新しいものに出合え、多様性を享受できる豊かな環境なようにも見えますが、その反面で、膨大な数の新顔&選択肢の中で自身が本当に求めているものに出合うのが、非常に難しくなっているような気も…。かつてはキワモノ扱いをされていたナチュラルワインも、今や多少なりとも市民権のようなものを獲得していますが、それでも日本に流通するワイン全体からしてみたら割合的にもごくわずか。逆に生産者の側的には、ナチュラルな農業や醸造を志向する限り、工業的なまでの生産量の実現などは不可能なわけですから、そういったコンセプトに則ったワインが増えるという事が意味することは、小規模な造り手が多数現れるということにほかならず…。ナチュラルワインにとって、日本は世界最大の市場(ないし最大の理解者)という認識が世界的にもあるものの、国民一人当たり年間3リットル程度という決して多くはない消費量に加え、こういったワインに新たに関心を持つ方の増加スピードを上回る造り手の数の増え方もあってか、今現在はナチュラルワイン同士で既存のパイを奪い合っている状態になっているように思うのはオータだけではないはず。
この言葉が使われるようになって20年以上が経ち、その美徳やら従来のワインとの違い等、あらゆることに関して議論がなされてきたと思うのですが、いまだにナチュラルワインという言葉に対して必要以上の(拒否)反応を示す方も…。ですが、ナチュラルワインというやや限定されたカテゴリーの中にも、パーネヴィーノのワインのように親が子を見守るかのような無償の愛(笑)が必要なものもあれば、グラヴネルやヴォドピーヴェッツのワインのような超オレンジな醸造方法だったりアンフォラでの醗酵&熟成だったりとスペック上はかなり奇抜であっても、佇まいは至って普通で、色調、香り、味わいのいかなるポイントにおいても一片のエクスキューズも存在しない、説得力の塊のようなものもあるわけで、“ナチュラルワイン”という言葉でそれらをひとくくりにしてしまうこと自体無理があるのでしょうし、ナチュラルワインという枕詞が原因で、(その枕詞を外したところで)偉大としか言いようのないヴォドピーヴェッツのワインさえも敬遠してしまうのは、本当にもったいないとオータは思ってしまうのです。
一方で、畑では有機栽培を実践、醸造においてもナチュラルな手法を採用していて、場合によっては酸化防止剤も完全無添加、そして味わい的にも一切破綻はないのだけれど、土地、ブドウ、ヴィンテージの個性を捉えづらいナチュラルワインも散見される気が…。言い換えるのなら、手法論としてはナチュラル(natural)であっても、土地、ブドウ、ヴィンテージといった自然(nature)が表現されていないワイン…。ややきついことを言うのなら、“飲みやすくておいしい”という言葉と共に飲まれているのかもしれないこれらのワインが、ナチュラルワインの真価というか、ナチュラルワインである必然性を広く認知してもらう事の障壁とさえなってしまっているようにオータには思えてしまい…。ナチュラルワインを志向する造り手であれ、それを特段標榜していない造り手であれ、ファインワインとして到達すべき最終目的地は、その土地、そのブドウ、そのヴィンテージにしかない唯一無二の個性(美)を液体の中に余すことなく表現することだと考えていると思います。そして、ナチュラルを理想とする造り手は、畑&セラーでのナチュラルなアプローチなしにそこに辿り着くことはできないとも考えているのかと…。つまり、ナチュラルな農業&醸造がゴールなのではなく“ナチュラルな~”は、あくまでも彼らの理想を具現化するための手段なのです。
ナチュラルワインを取り巻く世界で、“ナチュラルであること”をゴールとしてしまっているケースは、なにも造りの現場だけの話ではなく、インポーター、酒販店、飲食店、そして飲み手の現場でも、とある割合で起こっているとオータは思っています。流行っているからそういったワインを造り始め、流行っているからそういったワインを取り扱い、流行っているみたいだからそういったワインを飲む…。ほとんど取り沙汰されてこなかったところから一気に認知されるようになった事や、ポップなラベルや一部のワインが持つ反体制的な味わい(笑)も相まって、従来のやや格式ばったワインの世界に対するカウンターカルチャー的に受け入れられたことなどもあるからか、トレンドとか流行のように言われてしまうのも仕方がないところもあるのですが…。とはいえ、一部の造り手にとっては、人生を賭けて取り組んでいる事なわけですし、一部のインポーター、酒販店、飲食店、そして飲み手にとっても、自身の人生を豊かにしてくれるかけがえのないもので、そのような素晴らしい贈り物をしてくれる造り手たちに多大なる敬意を払い、彼らの事を心の底から応援したいと思っている…。自分にとって大切なことを、まるで一過性のもののように言われたら、あまり面白い気はしないですよね?なんにせよ、無条件で擁護する側につきたくなるようなナチュラルワインもあれば、想いの部分を共有することができないナチュラルワインもあるという事をオータ自身強く認識していたこともあり、これまではナチュラルワインという言葉(あとオレンジワインも…)を可能な限り使わないようにしてきましたし、この頻度でメルマガ中に登場するのは今回が最初で最後という事になるかと…。とどのつまり何が言いたかったのかと言いますと、手法論としてではなく、哲学や生き方としてナチュラルを選ぶ造り手たちのワインだけでも、流行などに流されることのないよう、これからは(も?)ナチュラルワインを苦手と思われてきた方たちさえも抜けられない沼にはめ、すでに愛飲してくださっている方の中からも、ナチュラルワインの事をポジティブに疑い、自らの審美眼で飲み選んでくれる仲間(言い換えるなら、おいしさではなく感動を共有できる仲間…)をもっと増やすことを意識して仕事をしていきたいと考えております!という、年頭の所信表明でしたっ!
昨年、ヴィナイオータにしては頻繁に外に出るようにし(←全く褒められた話ではありませんよね…。ですが、今までは本当に難しかったんです!)、お客様の声を直接聞いて思い知ったのが、“我々の声をより遠くまで届けること”の難しさでした。「ヴィナイオータがこんな造り手も扱っているだなんて知らなかった」と仰る方にも出合うにつけ、こりゃもうスポットライト以前の問題だと痛感するに至り…。
これまでは弊社の人員的な問題もあり、飲食店さんとの直接取引を積極的に受けてこなかったのですが、数的にも質的にもスタッフも揃いましたし、それにより、より細やかなサービスが可能になった(あくまでもヴィナイオータなりの…ですので、それほど期待しないでください(笑))と確信するに至り、前述の“より遠くまで我々の声を届ける”という宿願を果たすべく、飲食店さんとの直接取引の門戸を再び開くことにしました。もちろん、どなたとでもというわけではないですし、既存の酒販店様の邪魔をしたいわけでもありませんので、諸々の条件が整えば…という話にはなります。前述の通り、どなたかのパイを奪うのではなく、ナチュラルワイン界という名のオセロ盤の目を増やしていくイメージとでも言えば良いのでしょうか…。
当然のことながら、気合に満ちた熱い酒販店さんとの出合いのご縁も引き続き探していきたいですし、既存のお客様におかれましても、この素晴らしいナチュラルワインの世界をもっと多くの方に知ってもらいたい!とお考えで、その足掛かりを構築する上でヴィナイオータにできることがあるとお思いでしたら、なんなりとご相談ください!オータはやや気難しいと思われているかもしれませんが、そんなことはありませんし、少なくともスタッフは皆優しいので…。
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